伊勢物語翻字 by 片島諒

伊勢物語各種影印本の翻字を行います

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十九段《花にあかぬなけきはいつもせしかとも》

【伝尊鎮親王筆本】P42~43 貞觀十一年二月貞明親王爲皇太子于時髙子二条后爲女御 ⑦むかし春宮の女御の御方の花の賀にめしあ 依春宮母儀号歟 ⑧つけられたりけるに ⑨ 花にあかぬなけきはいつもせしかとも _____________________ ① けふ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十八段《なとてかくあふこかたみになりにけむ》

【伝尊鎮親王筆本】P42 ④むかしいろこのみなりける女いてゝいにけれは ⑤ なとてかくあふこかたみになりにけむ ⑥ 水もらさしとむすひしものを━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習院大学蔵伝定家筆本】26丁裏 ①昔いろこのみなりける女いてゝいにけれは ② …

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十七段《我はかり物思ふひとは又もあらし》

【伝尊鎮親王筆本】P41〜42 ⑤むかしおとこ女のもとにひとよいきて又もいかすなり ⑥にけれは女のてあらふところにぬきすをうちやり ⑦てたらひのかけに見えけるをみつから ⑧ 我はかり物思ふひとは又もあらし ⑨ と思へは水のしたにもありけり ________…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十六段《おもほえすそてにみなとのさはくかな》

【伝尊鎮親王筆本】P41 _____________________ ①むかしおとこ五条わたりなりける女をえゝすなりに ②けることゝわひたりける人の返事に ③ おもほえすそてにみなとのさはくかな ④ もろこし舟のよりしはかりに━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十五段《秋のゝにさゝわけしあさの袖よりも》

【伝尊鎮親王筆本】P40 ③むかしおとこありけりあはしともいはさりける女の ④さすかなりけるかもとにいひやりける ⑤ 秋のゝにさゝわけしあさの袖よりも ⑥ あはてぬる夜そひちまさりける ⑦いろこのみなる女返し ⑧ みるめなきわか身をうらとしらねはや ⑨ かれな…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十四段《あらたまのとしの三とせをまちわひて》

【伝尊鎮親王筆本】P37〜40 ⑨昔おとこかたゐなかにすみけりおとこ宮つかへしにとて _____________________ ①わかれおしみてゆきにけるまゝに三とせこさりけれ ②はまちわひたりけるにいとねんころにいひける人に ③こよひあはむとちきり…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十三段《つゝゐつの井つゝにかけしまろかたけ》

【伝尊鎮親王筆本】P34~37 _____________________ ①昔ゐなかわたらひしける人のことも井のもとにいてゝ ②あそひけるをおとなになりにけれはおとこも女もはち ③かはしてありけれとおとこはこの女をこそえめと ④思ふ女はこのおとこをと…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十二段《うきなから人をはえしも忘れねは》

【伝尊鎮親王筆本】P32~33 ④むかしはかなくてたえにけるなか猶やわすれ ⑤さりけむ女のもとより ⑥ うきなから人をはえしも忘れねは ⑦ かつうらみつゝなをそ恋しき ⑧といへりけれはされはよといひておとこ ⑨ あひみては心ひとつをかはしまの ________…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十一段《いてゝいなは心かるしといひやせむ》

【伝尊鎮親王筆本】P28〜32 ⑨むかしおとこ女いとかしこく思ひかはしてこと心なかり _____________________ ①けりさるをいかなる事かありけむいさゝかなることに ②つけて世中をうしと思ていてゝいなむと思て ③かゝる哥をなむよみてもの…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二十段《君かためたおれる枝ははるなから》

【伝尊鎮親王筆本】P27〜28 ⑧むかしおとこやまとにある女をみてよはひてあひに ⑨けりさてほとへて宮つかへする人なりけれはかへり _____________________ ①くるみちにやよひはかりにかえてのもみちのいと ②おもしろきをゝりて女のもと…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十九段《あまくものよそにも人のなりゆくか》

【伝尊鎮親王筆本】P26〜27 ⑦むかしおとこみやつかへしける女のかたにこたちなり ⑧ける人をあひしりたりける程もなくかれにけり ⑨おなし所なれは女のめには見ゆるものからおとこは _____________________ ①ある物かとも思たらす女 ② あ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十八段《紅ににほふはいつらしらゆきの》

【伝尊鎮親王筆本】P25〜26 ⑧むかしなま心ある女ありけり男ちかうありけり女 ⑨うたよむ人なりけれは心みむとてきくの花のうつろ _____________________ ①へるをゝりておとこのもとへやる ② 紅ににほふはいつらしらゆきの ③ えたもとを…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十七段《あたなりと名にこそたてれさくらはな》

【伝尊鎮親王筆本】P25 _____________________ ①としころをとつれさりける人のさくらのさかりに ②見にきたりけれはあるし ③ あたなりと名にこそたてれさくらはな ④ としにまれなる人もまちけり ⑤返し ⑥ けふこすはあすは雪とそふりなま…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十六段《手を折てあひみしことをかそふれは》

【伝尊鎮親王筆本】P22~24 紀有常従四位下雅楽頭經兵衛尉蔵人左近將監馬助兵衛佐左少將少納言 刑部大輔 自承和至于元慶 正四位下名虎男 ②むかしきのありつねといふ人ありけりみよのみかとに ③つかうまつりて時にあひけれとのちは世かはり時う ④つりにけれは…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十五段《忍山しのひてかよふみちもかな》

【伝尊鎮親王筆本】P21~22 ④昔みちのくにゝてなてふことなき人のめにかよひ ⑤けるにあやしうさやうにてあるへき女ともあらす ⑥見えけれは ⑦ 忍山しのひてかよふみちもかな ⑧ ひとのこゝろのおくもみるへく ⑨女かきりなくめてたしと思へとさるさかなきえひす…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十四段《なか\/にこひにしなすはくはこにそ》

【伝尊鎮親王筆本】P19〜21 ⑨むかしおとこみちのくにゝすゝろにゆきいたりにけり _____________________ ①そこなる女京の人はめつらかにやおほえけんせ ②ちに思へる心なむありけるさてかの女 [入万葉] ③ なか\/にこひにしなすはく…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十三段《むさしあふみさすかにかけてたのむには》

【伝尊鎮親王筆本】P18~19 ⑨昔武藏なるおとこ京なる女のもとにきこゆれは _____________________ ①はつかしきこえねはくるしとかきてうはかきにむさし ②あふみとかきてをこせてのちをともせすなりに ③けれは京より女 ④ むさしあふみさ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十二段《むさし野はけふはなやきそわか草の》

【伝尊鎮親王筆本】P18 _____________________ ①昔おとこ有けり人のむすめをぬすみて武 ②藏野へゐてゆくほとにぬす人なりけれは ③國のかみにからめられにけり女をは草むらの中に ④をきてにけにけりみちくる人このゝはぬす人あ ⑤なりと…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十一段《忘るなよ程は雲ゐになりぬとも》

【伝尊鎮親王筆本】P17 ⑥昔おとこあつまへゆきけるにともたちともに ⑦みちよりいひをこせける ⑧ 忘るなよ程は雲ゐになりぬとも ⑨ そらゆく月のめくりあふまて _____________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習院大学蔵伝…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第十段《みよし野のたのむのかりもひたふるに》

【伝尊鎮親王筆本】P16~17 ②むかしおとこむさしのくにまてまとひありきけり ③さてそのくにゝある女をよはひけりちゝはこと人に ④あはせむといひけるをはゝなむあてなるひとに心 ⑤つけたりけるちゝはなお人にてはゝなむふちはらなり ⑥けるさてなむあてなる人…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第九段《からころもきつゝなれにしつましあれは》

【伝尊鎮親王筆本】P11~16 ②むかしおとこありけりその男身をえうなき物に ③おもひなして京にはあらしあつまの方にすむへ ④きくにもとめにとてゆきけりもとよりともとする ⑤人ひとりふたりしていきけりみちしれる人もなくて ⑥まとひいきけりみかはの國やつは…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第八段《しなのなるあさまのたけにたつけふり》

【伝尊鎮親王筆本】P10〜11 ⑤むかしおとこありけり京やすみうかりけむあつま ⑥のかたにゆきてすみ所もとむとてともとする人 ⑦ひとりふたりしてゆきけりしなのゝくにあさまの ⑧たけにけふりのたつを見て ⑨ しなのなるあさまのたけにたつけふり _______…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第七段《いとゝしく過ゆく方のこひしきに》

【伝尊鎮親王筆本】P9~10 ⑧むかしおとこありけり京にありわひてあつまに ⑨いきけるに伊勢おはりのあはひのうみつらをゆく _____________________ ①になみのいとしろくたつを見て ② いとゝしく過ゆく方のこひしきに ③ うらやましくもか…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第六段《しら玉かなにそと人のとひしとき》

【伝尊鎮親王筆本】P7〜9 ③むかしおとこありけり女のえうましかりけるを年 ④をへてよはひわたりけるをからうしてぬすみ ⑤いてゝいとくらきにきけりあくた河といふかはをゐ ⑥ていきけれはくさのうへにをきたりける露をかれ ⑦はなにそとなむおとこにとひけるゆ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第五段《人しれぬ我かよひちの関もりは》

【伝尊鎮親王筆本】P5~7 ⑧むかしおとこ有けりひんかしの五条わたりにいと ⑨しのひていきけりみそかなるところなれはかとよりも _____________________ ①えいらてわらはへのふみあけたるつい[ひ]ちのくつ ②れよりかよひけりひとしけ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第四段《月やあらぬ春やむかしのはるならぬ》

【伝尊鎮親王筆本】P4~5 ④むかしひんかしの五条におほきさいの宮おはしまし ⑤けるにしのたいにすむ人ありけりそれをほい ⑥にはあらて心さしふかゝりける人ゆきとふらひける ⑦をむ月の十日はかりのほとにほかにかくれにけりあり ⑧ところはきけと人のいきかよ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第三段《思ひあらはむくらのやとにねもしなむ》

【伝尊鎮親王筆本】P3~4 ⑦昔おとこありけりけさうしける女のもとにひ ⑧しきもといふ物をやるとて ⑨ 思ひあらはむくらのやとにねもしなむ _____________________ ① ひしきものにはそてをしつゝも ②二条のきさきのまたみかとにもつかう…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第二段《おきもせすねもせてよるをあかしては》

【伝青蓮院尊鎮親王筆本】P2~3 ⑦むかしおとこありけりならの京ははなれこの京は ⑧人のいゑまたさたまらさりける時ににしの京に ⑨女ありけりその女㔺人にはまされりけりその _____________________ ①人かたちよりは心なむまさりたりけ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本・第一段《かすか野のわかむらさきのすりころも》

【伝尊鎮親王筆本】P1~2 _____________________ ①むかしおとこうゐかうふりしてならの京かすかの ②さとにしるよししてかりにいにけりそのさとにいと ③なまめいたるをむなはらからすみけりこのおとこ ④かいまみてけりおもほえすふるさ…

④伝青蓮院尊鎮親王筆本について

伝青蓮院尊鎮親王筆本は山田清市氏によって武田本系の善本とされる写本。尊鎮親王(1504~1550年)は後柏原天皇の皇子で天台座主も務めた人。父後柏原天皇が定家筆武田本を書写した一次写本の後柏原天皇宸筆本をさらに書写した二次写本がこの本とのこと。静嘉…