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伊勢物語翻刻 by 片島諒

伊勢物語各種影印本の翻刻を行います

③九州大学図書館蔵伝実隆筆細川文庫本・第十六段《手をゝりてあひみし事をかそふれは》

【九大蔵伝実隆筆細川文庫本】P16A~17B
                   代
⑥むかしきのありつねといふ人有けり三〝世〟のみ
⑦かとにつかうまつりて時にあひけれとのち
⑧は世かはり時うつりにけれは世のつねの人の
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①こともあらす人からは心うつくしくあてはかな
②ることをこのみてこと人にもにすまつしくへ
③ても猶むかしよかりし時の心なからよのつね
④のこともしらすとしころあひなれたるめやう\/
⑤とこはなれてつゐにあまになりてあねの
⑥さきたちてなりたる所へゆくをおとこ
⑦まことにむつましきことこそなかりけれいまはと
⑧ゆくをいとあはれと思けれとまつしけれはするわ
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①さもなかりけりおもひわひてねんころにあひ
②かたらひけるともたちのもとにかう\/いまは
③とてまかるをなにこともいさゝかなることもえ
④せてつかはすことゝかきておくに
⑤  手をゝりてあひみし事をかそふれは
⑥  とおといひつゝよつはへにけり
⑦かのともたちこれをみていとあはれと思ひて
⑧よるの物まてをくりてよめる
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①  年たにもとおとてよつはへにけるを
②  いくたひ君をたのみきぬらん
③かくいひやりたりけれは
④  これやこのあまのは衣むへしこそ
⑤  きみかみけしとたてまつりけれ
⑥よろこひにたへて又
⑦  秋やくるつゆやまかふと思ふまて
⑧  あるは淚のふるにそ有ける
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学習院大学蔵伝定家筆本】15丁表〜16丁裏
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①むかしきのありつねといふ人有けり
②三㔺のみかとにつかうまつりて時に
③あひけれとのちは㔺かはり時うつり
④にけれは㔺のつねの人のこともあらす
⑤人からは心うつくしくあてはかなる
⑥ことをこのみてこと人にもにす
⑦まつしくへても猶むかしよかりし
⑧時の心なからよのつねのこともしらす
⑨としころあひなれたるめやう\/
⑩とこはなれてつゐにあまに
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①なりてあねのさきたちてなりたる
②ところへゆくをおとこまことにむつ
③ましきことこそなかりけれいまはと
④ゆくをいとあはれと思けれとまつし
⑤けれはするわさもなかりけり
⑥おもひわひてねむころにあひかたら
⑦ひけるともたちのもとにかう\/いま
⑧はとてまかるをなにこともいさゝか
⑨なることもえせてつかはすことゝ
⑩かきておくに
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①  手をゝりてあひ見し事をかそふれは
②  とおといひつゝよつはへにけり
③かのともたちこれを見ていとあは
④れと思ひてよるの物まてをくりてよめる
⑤  年たにもとおとてよつはへにけるを
⑥  いくたひきみをたのみきぬらん
⑦かくいひやりたりけれは
⑧  これやこのあまのは衣むへしこそ
⑨  きみかみけしとたてまつりけれ
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①よろこひにたへて又
②  秋やくるつゆやまかふとおもふまて
③  あるは淚のふるにそ有ける

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静嘉堂文庫本】P25~28
紀有常従四位下雅楽頭 經兵衞尉蔵人左近將監馬助兵衞佐左少將少納言
刑部大輔 自承和至于元慶 正四位下名虎男
④むかしきのありつねといふ人ありけり三よのみかと
⑤につかうまつりて時にあひけれとのちは㔺かはり
⑥時うつりにけれは㔺のつねの人のこともあらす
⑦人からは心うつくしうあてはかなることをこの
⑧みてことに人にもにすまつしくへても猶昔
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①よかりし時の心なから㔺のつねのこともしらす
②としころあひなれたるめやう\/とこはなれて
③つゐにあまになりてあねのさきたちてなり
④たるところへゆくをおとこまことにむつまし
⑤き事こそなかりけれいまはとゆくをいとあは
⑥れと思けれとまつしけれはするわさもなかり
⑦けりおもひわひてねむころにあひかたらひ
⑧けるともたちのもとにかう\/いまはとて
⑨まかるをなにこともいさゝかなることもえ
_____________________
①せてつかはすことゝかきておくに
②  手をゝりてあひ見しことをかそふれは
③  とおといひつゝよつはへにけり
④かのともたちこれを見ていとあはれとおもひて
⑤よるのものまてをくりてよめる
⑥  年たにもとおとてよつはへにけるを
⑦  いくたひきみをたのみきぬらむ
⑧かくいひやりたりけれは
⑨  これやこのあまのは衣むへしこそ
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①  きみかみけしとたてまつりけれ
②よろこひにたへて又
③  秋やくるつゆやまかふとおもふまて
④  あるはなみたのふるにそありける

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《異同㈠》
A.細川文庫本P16B②……………こと人にもにす
 学習院大蔵本15丁表⑥……こと人にもにす
 静嘉堂文庫本P25⑦…………ことに人にもにす
[こと人にも━━天学習・天河野・天冷泉・天細川・根為相・根理家・大為氏・大谷森・大阿波・塗民局・参為家・非通具・非藤房
 ことに人にも━━武静嘉・武尊鎮・根智蘊・根承久・根九家・根良経・根千葉・根文暦・定嵯峨]

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《異同㈡》無し

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《異同㈢》
A.細川文庫本P16B①……………心うつくしく
 学習院大蔵本15丁表⑤……心うつくしく
 静嘉堂文庫本P25⑦…………心うつくしう

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《備考》
★ 『三世』の『世』が朱でミセケチされて『代』と傍記されているが、これはいつ誰が行ったものか不明。後人によるものか。