②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第二十一段《いてゝいなは心かるしといひやせん》
【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P36~40
⑨むかしおとこ女いとかしこく思ひ
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①かはしてこと心なかりけりさるを
②いかなる事かありけむいさゝかなる
③ことにつけて㔺中をうしと思ひ
④ていてゝいなんと思ひてかゝるうたを
⑤なんよみて物にかきつけゝる
⑥ いてゝいなは心かるしといひやせん
⑦ 㔺のありさまを人はしらねは
⑧とよみをきていてゝいにけりこの
⑨女かくかきをきたるをけしう心
⑩をくへきこともおほえぬを
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①なにゝよりてかかゝらむといといたう
②なきていつかたにもとめゆかむと
③かとにいてゝと見かう見ゝけれと
④いつこをはかりともおほえさり
⑤けれはかへりいりて
⑥ 思ふかひなき㔺なりけり年月を
⑦ あたにちきりて我やすまひし
⑧といひてなかめをり
⑨ 人はいさ思ひやすらん玉かつら
⑩ おもかけにのみいとゝ見えつゝ
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①この女いとひさしくありてねむし
②わひてにやありけんいひをこせたる
③ 今はとてわするゝ草のたねをたに
④ ひとの心にまかせすも哉
⑤返し
⑥ 忘草うふとたにきく物ならは
⑦ 思けりとはしりもしなまし
⑧又\/ありしよりけにいひかはしておとこ
[新古今]
⑨ わする覧と思心のうたかひに
⑩ ありしよりけに物そかなしき
_____________________
①返し
[新古今]
② 中そらにたちゐるくものあともなく
③ 身のはかなくもなりにける哉
④とはいひけれとをのか㔺ゝになり
⑤にけれはうとくなりにけり
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【学習院大学蔵伝定家筆本】18丁裏〜20丁裏
⑨むかしおとこ女いとかしこく思ひ
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①かはしてこと心なかりけりさるを
②いかなる事かありけむいさゝかなる
③ことにつけて㔺中をうしと思ひ
④ていてゝいなんと思ひてかゝるうたを
⑤なんよみて物にかきつけゝる
⑥ いてゝいなは心かるしといひやせん
⑦ 㔺のありさまを人はしらねは
⑧とよみをきていてゝいにけりこの
⑨女かくかきをきたるをけしう心
⑩をくへきこともおほえぬを
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①なにゝよりてかかゝらむといといたう
②なきていつかたにもとめゆかむと
③かとにいてゝと見かう見ゝけれと
④いつこをはかりともおほえさり
⑤けれはかへりいりて
⑥ 思ふかひなき㔺なりけり年月を
⑦ あたにちきりて我やすまひし
⑧といひてなかめをり
⑨ 人はいさ思ひやすらん玉かつら
⑩ おもかけにのみいとゝ見えつゝ
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①この女いとひさしくありてねむし
②わひてにやありけんいひをこせたる
③ 今はとてわするゝ草のたねをたに
④ ひとの心にまかせすも哉
⑤返し
⑥ 忘草うふとたにきく物ならは
⑦ 思けりとはしりもしなまし
⑧又\/ありしよりけにいひかはしておとこ
[新古今]
⑨ わする覧と思心のうたかひに
⑩ ありしよりけに物そかなしき
_____________________
①返し
[新古今]
② 中そらにたちゐるくものあともなく
③ 身のはかなくもなりにける哉
④とはいひけれとをのか㔺ゝになり
⑤にけれはうとくなりにけり
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【静嘉堂文庫本】P32~36
⑥むかしおとこ[女]いとかしこくおもひかはしてこと心
⑦なかりけりさるをいかなる事かありけむいさゝ
⑧かなることにつけて㔺中をうしと思ていて
⑨いなむと思てかゝる哥をなむよみてものに
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①かきつけゝる
② いてゝいなは心かるしといひやせむ
③ 㔺のありさまを人はしらねは
④とよみをきていてゝいにけりこの女かくかき
⑤をきたるをけしう心をくへきこともおほえ
⑥ぬをなにゝよりてかかゝらむといといたうな
⑦きていつ方にもとめゆかむとかとにいてゝ
⑧と見かう見ゝけれといつこをはかりともおほえ
⑨さりけれはかへりいりて
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① おもふかひなき㔺なりけりとし月を
② あたにちきりてわれやすまひし
③といひてなかめをり
④ 人はいさおもひやすらむたまかつら
⑤ おもかけにのみいとゝ見えつゝ
⑥この女いとひさしくありてねむしわひてにや
⑦ありけむいひをこせたる
⑧ いまはとてわするゝくさのたねをたに
⑨ 人の心にまかせすもかな
⑩返し
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① わすれ草うふとたにきく物ならは
② おもひけりとはしりもしなまし
③又\/ありしよりけにいひかはしておとこ
④ わする覧と思心のうたかひに
⑤ ありしよりけに物そかなしき
⑥返し
⑦ なかそらにたちゐるくものあともなく
⑧ 身のはかなくもなりにける哉
⑨とはいひけれとをのか㔺ゝになりにけれはうとく
⑩なりにけり
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《異同㈠》無し
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《異同㈡》無し
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《異同㈢》無し
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河野美術館蔵三条西実隆筆本第21段
http://nobinyanmikeko.hatenadiary.com/entry/2016/10/20/013215
九州大学図書館蔵伝三条西実隆筆細川文庫本第21段
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伝青蓮院尊鎮親王筆本第21段
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九州大学図書館蔵伝藤原為家筆細川文庫本第21段
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