①河野美術館蔵実隆筆本・第百七段《つれ\/のなかめにまさる淚河》
【河野美術館蔵実隆筆本】67丁裏~68丁裏
⑥むかしあてなるおとこありけりそのおとこ
⑦のもとなりける人を内記に有けるふちはら
敏行母紀名虎女
⑧のとしゆきといふ人よはひけりされとわかけれ
⑨はふみもおさ\/しからすことはもいひしらす
⑩いはむやうたはよまさりけれはかのあるし
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①なる人あんをかきてかゝせてやりけりめて
②まとひにけりさておとこのよめる
[古今]
③ つれ\/のなかめにまさる淚河
④ そてのみひちてあふよしもなし
⑤返しれいのおとこ女にかはりて
[古今]
⑥ あさみこそゝてはひつらめ淚河
⑦ 身さへなかるときかはたのまむ
⑧といへりけれはおとこいといたうめてゝいまゝ
⑨てまきてふはこにいれてありとなんいふなる
⑩おとこふみをこせたりえてのちの事なり
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①けりあめのふりぬへきになん見わつらひ侍
②みさいはひあらはこのあめはふらしといへり
③けれはれいのおとこ女にかはりてよみてや
④らす
[古今]
⑤ かす\/に思ひおもはすとひかたみ
⑥ 身をしる雨はふりそまされる
⑦とよみてやれりけれはみのもかさもとり
⑧あへてしとゝにぬれてまとひきにけり
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【学習院大学蔵伝定家筆本】77丁裏〜79丁表
⑨むかしあてなるおとこありけりその
⑩おとこのもとなりける人を内記に
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①有けるふちはらのとしゆきといふ人
敏行母紀名虎女
②よはひけりされと[✼また]わかけれはふみも
③おさ\/しからすことはもいひしらす
④いはむやうたはよまさりけれは
[こイ]
⑤かのあるしなる人あんをかきて
⑥かゝせてやりけりめてまとひにけり
⑦さておとこのよめる
[古今]
⑧ つれ\/のなかめにまさる淚河
⑨ そてのみひちてあふよしもなし
⑩返しれいのおとこ女にかはりて
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[古今]
① あさみこそゝてはひつらめ淚河
② 身さへなかるときかはたのまむ
③といへりけれはおとこいといたうめてゝ
④いまゝてまきてふはこにいれてありと
⑤なんいふなるおとこふみをこせたり
⑥えてのちの事なりけりあめのふり
⑦ぬへきになん見わつらひ侍みさい
⑧はひあらはこのあめはふらしといへ
⑨りけれはれいのおとこ女にかはりて
⑩よみてやらす
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[古今]
① かす\/に思ひおもはすとひかたみ
② 身をしる雨はふりそまされる
③とよみてやれりけれはみのもかさ
④もとりあへてしとゝにぬれてまとひ
⑤きにけり
✼この『また』は武蔵野書院版だと『まこ』に見えるが新典社版だと『また』に見える。
武蔵野書院版
新典社版
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【静嘉堂文庫本】P148~150
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①昔あてなるおとこ有けりそのおとこの
②もとなりける人を内記にありけるふち
③はらのとしゆきといふ人よはひけりされ
[イ無]
④とまたわかけれはふみもおさ\/しか
⑤らすことはもいひしらすいはむやうたは
[かイ]
⑥よまさりけれはこのあるしなる人あんを
⑦かきてかゝせてやりけりめてまとひにけり
⑧さておとこのよめる〝う〟
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① つれ\/のなかめはまさる淚河
② 袖のみひちてあふよしもなし
③返しれいのおとこ女にかはりて
④ あさみこそゝてはひつらめなみた河
⑤ 身さへなかるときかはたのまむ
⑥といへりけれはおとこいといたうめてゝいまゝて
⑦まきてふはこにいれてありとなむいふなる
⑧おとこふみをこせたりえてのちの事なりけり
⑨あめのふりぬへきになむ見わつらひ侍み
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①さいはひあらはこのあめはふらしといへり
②けれはれいのおとこ女にかはりてよみてやらす
③ かす\/におもひおもはすとひかたみ
④ 身をしるあめはふりそまされる
⑤とよみてやれりけれはみのもかさもとりあ
⑥へてしとしとゝにぬれてまとひきにけり
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《異同㈠》
A.河野美術館本67丁裏⑧……わかけれは
学習院大蔵本78丁表②……[また]わかけれは
[イ無]
静嘉堂文庫本P148④………またわかけれは
[わかけれは━━天河野・天冷泉・天細川・参為家
またわかけれは━━天学習・武静嘉・武尊鎮・武兼良・定嵯峨・根理家・根千葉・根文暦・根為相・根承久・根九家・根良経・根智蘊・大為氏・大谷森・大阿波・非通具
いまたわかゝりけれはにや━━塗民局]
✼学習院本の『また』の補入は、河野美術館蔵実隆筆本や冷泉為和筆本にはこの補入が無いので定家や実隆によるものではなく後人によるものか。
※静嘉堂文庫本の校異の書込みは朱書きとのことで影印本では確認できないが山田清市氏の翻刻(古典文庫229)により補った。
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B.河野美術館本67丁裏⑩……かのあるし
[こイ]
学習院大蔵本78丁表⑤……かのあるし
[かイ]
静嘉堂文庫本P148⑥………このあるし
[かのあるし━━天学習・天河野・天冷泉・天細川・定嵯峨・根理家・根千葉・根文暦・根為相・根承久・根九家・根良経・大為氏・大谷森・大阿波・参為家・非通具
このあるし━━武静嘉・武尊鎮・武兼良・根智蘊・塗民局]
※静嘉堂文庫本の校異の書込みは朱書きとのことで影印本では確認できないが山田清市氏の翻刻(古典文庫229)により補った。
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《異同㈡》無し
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《異同㈢》無し
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宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本第107段
http://nobinyanmikeko.hatenadiary.com/entry/2017/04/07/012132
九州大学図書館蔵伝三条西実隆筆細川文庫本第107段
http://nobinyanmikeko.hatenadiary.com/entry/2017/05/03/024430
伝青蓮院尊鎮親王筆本第107段
http://nobinyanmikeko.hatenadiary.com/entry/2017/07/16/193709