伊勢物語翻字 by 片島諒

伊勢物語各種影印本の翻字を行います

冷泉為和筆本

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十七段《さくら花ちりかひくもれおいらくの》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P145~146 昭宣公基経貞觀十四年八月卄一日右大臣左大將卅七 ⑥むかしほり河のおほいまうちきみ ⑦と申すいまそかりけり四十の賀 ⑧九條の家にてせられける日中將 ⑨なりけるおきな 業平十九年任中將不審 ___________…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十六段《秋かけていひしなからもあらなくに》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P142~145 ⑦むかしおとこ有けり女をとかくいふこと ⑧月日へにけりいは木にしあらねは ⑨心くるしとや思けんやう\/あはれと ⑩思けりそのころみな月のもちはかり _____________________ ①なりけれは女身…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十五段《ひこほしにこひはまさりぬあまの河》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P141~142 ⑥むかし二條の后につかうまつるおとこ ⑦有けり女のつかうまつるをつねに ⑧見かはしてよはひわたりけりいか ⑨て物こしにたいめんしておほつかなく _____________________ ①思つめたることすこ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十四段《秋の夜は春ひわするゝ物なれや》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P139~141 ⑦むかしおとこ有けりいかゝありけむ ⑧そのおとこすますなりにけり ⑨のちにをとこありけれとこあるなかなりけれは _____________________ ①こまかにこそあらねと時\/ものいひ ②をこせけり女…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十三段《あふな\/思ひはすへしなそへなく》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P138~139 ⑩むかしおとこ身はいやしくていとになき _____________________ ①人を思かけたりけりすこしたのみ ②ぬへきさまにやありけんふして思ひ ③おきておもひ思わひてよめる ④ あふな\/思ひはすへし…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十二段《あし邉こくたなゝしを舟いくそたひ》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P138 ⑥むかしこひしさにきつゝかへれと ⑦女にせうそこをたにえせてよめる ⑧ あし邉こくたなゝしを舟いくそたひ ⑨ ゆきかへるらんしる人もなみ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習院大学蔵伝定家筆本】69丁裏 ⑥むかしこひ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十一段《おしめとも春のかきりのけふの日の》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P138 ②むかし月日のゆくをさへなけくお ③とこ三月つこもりかたに [後撰] ④ おしめとも春のかきりのけふの日の ⑤ ゆふくれにさへなりにける哉━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習院大学蔵伝定家筆本】69丁裏 ②むかし月日…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第九十段《さくら花けふこそかくもにほふとも》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P137~138 ③むかしつれなき人をいかてと思わたり ④けれはあはれとや思けんさらはあす ⑤ものこしにてもといへりけるをか ⑥きりなくうれしく又うたかはし ⑦かりけれはおもしろかりけるさくら ⑧につけて ⑨ さくら花けふこそかく…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十九段《ひとしれす我こひしなはあちきなく》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P136~137 ⑨むかしいやしからぬおとこ我よりは ⑩まさりたる人を思かけて年へける _____________________ ① ひとしれす我こひしなはあちきなく ② いつれの神になきなおほせん━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十八段《おほかたは月をもめてしこれそこの》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P136 ④昔いとわかきにはあらぬこれかれとも ⑤たちともあつまりて月を見てそれ ⑥かなかにひとり [古今] ⑦ おほかたは月をもめてしこれそこの ⑧ つもれは人のおいとなる物━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習院蔵伝定家筆…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十七段《あしのやのなたのしほやきいとまなみ》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P131~136 ②むかしおとこ津のくにむはらのこほり ③あしやのさとにしるよしゝていきて ④すみけりむかしのうたに [新古今] ⑤ あしのやのなたのしほやきいとまなみ ⑥ つけのをくしもさゝすきにけり ⑦とよみけるそこのさとをよ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十六段《今まてにわすれぬ人は㔺にもあらし》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P130~131 ②昔いとわかきおとこわかき女をあひ ③いへりけりをの\/おやありけれはつゝみ ④ていひさしてやみにけり年ころへて ⑤女のもとに猶心さしはたさむとや思 ⑥けむおとこうたをよみてやれりけり [新古今] ⑦ 今まてにわ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十五段《おもへとも身をしわけねはめかれせぬ》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P128~130 ④昔おとこ有けりわらはよりつかう ⑤まつりけるきみ御くしおろしたまうて ⑥けりむ月にはかならすまうてけり ⑦おほやけのみやつかへしけれはつね ⑧にはえまうて[す]されともとの心う ⑨しなはてまうてけるになん有け…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十四段《老ぬれはさらぬわかれのありといへは》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P126~128 ⑨むかしおとこ有けり身はいやしなから ⑩はゝなん宮なりけるそのはゝ _____________________ ①なかをかといふ所にすみ給けり ②こは亰に宮つかへしけれはまうつ ③としけれとしは\/えまうてす …

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十三段《まくらとて草ひきむすふこともせし》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P124~126 ②むかしみなせにかよひ給しこれたかの ③みこれいのかりしにおはしますともに ④うまのかみなるおきなつかうまつれり ⑤日ころへて宮にかへりたまうけり ⑥御をくりしてとくいなんとおもふに ⑦おほみきたまひろくたまは…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・八十二段《㔺中にたえてさくらのなかりせは》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P118~124 名虎女 惟喬 文德第一母従五位上紀静子四品号小野宮 ⑨むかしこれたかのみこと申すみこ _____________________ ①おはしましけり山さきのあなたに ②みなせといふ所に宮ありけり年 ③ことのさくら…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十一段《しほかまにいつかきにけむあさなきに》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P116~118 源融嵯峨第十二源氏母正五位下大原全子 貞觀十四年八月卄五日任左大臣元大納言五十一 仁和三年従一位寬平元年輦車七年八月薨七十三 ③むかし左のおほいまうちきみいま ④そかりけりけりかも河のほとりに六條 ⑤わたり…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第八十段《ぬれつゝそしゐておりつる年の内に》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P115~116 ⑥昔おとろへたる家にふちの花う ⑦へたる人ありけりやよひのつ ⑧こもりにその日あめそほふるに ⑨人のもとへおりてたてまつらすとてよめる _____________________ [古今] ① ぬれつゝそしゐて…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十九段《わかゝとにちひろある影をうへつれは》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P114~115 ⑦むかしうちのなかにみこうまれ ⑧給へりけり御うふやにひと\/哥 ⑨よみけり御おほちかたなりける ⑩おきなのよめる _____________________ ① わかゝとにちひろある影をうへつれは ② 夏冬たれ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十八段《あかねともいはにそかふる色見えぬ》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P110~114 ③むかしたかきこと申す女御おは ④しましけりうせ給てなゝ七日の ⑤みわさ安祥寺にてしけり _____________________ ①右大將ふちはらのつねゆきといふ ②人いまそかりけりそのみわさにま ③うてた…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十七段《山のみなうつりてけふにあふ事は》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P107~110 文德天皇 ⑨むかしたむらのみかとゝ申すみかと ⑩おはしましけりその時の女御 _____________________ ①たかきこと申すみまそかりけり ②それうせたまひて安祥寺にてみ ③わさしけり人\/さゝけも…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・七十六段《大原やをしほの山もけふこそは》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P106~107 春宮母儀也 ⑨むかし二條の后のまた春宮の ⑩みやすん所と申ける時氏神に _____________________ ①まうて給けるにこのゑつかさにさ ②ふらひけるおきな人\/のろく ③たまはるついてに御くるまよ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十五段《おほよとのはまにおふてふ見るからに》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P105~106 ⑤昔おとこ伊勢のくにゝゐていきて ⑥あらむといひけれは女 ⑦ おほよとのはまにおふてふ見るからに ⑧ 心はなきぬかたらはねとも ⑨といひてましてつれなかりけれはおとこ ⑩ 袖ぬれてあまのかりほすわたつうみの ___…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十四段《いはねふみかさなる山にあらねとも》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P105 ②むかしおとこ女をいたうゝらみて [万葉] [拾遺] ③ いはねふみかさなる山にあらねとも ④ あはぬ日おほくこひわたる哉━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習院大学蔵伝定家筆本】53丁表 ②むかしおとこ女をいたうゝ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十三段《めには見てゝにはとられぬ月のうちの》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P104~105 ⑦むかしそこにはありときけとせ ⑧うそこをたにいふへくもあらぬ ⑨女のあたりをおもひける [万葉] ⑩ めには見てゝにはとられぬ月のうちの _____________________ ① かつらのこときゝみにそあ…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十二段《おほよとの松はつらくもあらなくに》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P104 ②むかしおとこ伊勢のくになりける ③女又えあはてとなりのくにへいく ④とていみしうゝらみけれは女 [新古今] ⑤ おほよとの松はつらくもあらなくに ⑥ うらみてのみもかへるなみ哉━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【学習…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十一段《ちはやふる神のいかきもこえぬへし》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P103~104 ③昔おとこ伊勢の齋宮に内の御 ④つかひにてまいれりけれはかの ⑤宮にすきこといひける女わたく ⑥しことにて [拾遺] [人丸] ⑦ ちはやふる神のいかきもこえぬへし ⑧ 大宮人の見まくほしさに ⑨おとこ ⑩ こひしくは…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第七十段《見るめかる方やいつこそさほさして》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P102~103 ⑥むかしおとこ狩の使よりかへりき ⑦けるにおほよとのわたりにやと ⑧りていつきの宮のわらはへにいひ ⑨かけゝる _____________________ [新古今] ① 見るめかる方やいつこそさほさして ② 我に…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第六十九段《きみやこし我やゆきけむおもほえす》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P97~102 _____________________ ①むかしおとこ有けりそのおとこ伊 ②勢のくにゝかりの使にいきけるに ③かの伊勢の齋宮なりける人のおや ④つねのつかひよりはこの人よくいた ⑤はれといひやれりけれはおや…

②宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本・第六十八段《鴈なきて菊の花さく秋はあれと》

【宮内庁書陵部蔵冷泉為和筆本】P96 ②昔おとこいつみのくにへいきけりすみ ③よしのこほりすみよしのさとすみ ④𠮷のはまをゆくにいとおもしろ ⑤けれはおりゐつゝゆくある人すみ ⑥よしのはまとよめといふ ⑦ 鴈なきて菊の花さく秋はあれと ⑧ 春のうみへはすみよ…