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伊勢物語翻刻 by 片島諒

伊勢物語各種影印本の翻刻を行います

和歌索引~な行・は行・ま行・や行・わ行

和歌索引

【な行】

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113段・194
〔河實〕なかゝらぬいのちのほとにわするゝは
    いかにみしかき心なるらん
〔通具〕なかゝらぬいのちのほとにわするゝは
    いかにみしかきこゝろなるらん
〔大島〕なかゝらぬいのちのほとにわするゝは
    いかにみしかきこゝろなる覧

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21段・42
〔河實〕中そらにたちゐるくものあともなく
    身のはかなくもなりにける哉
〔通具〕中そらにたちゐるくものあともなく
    みのはかなくもなりにけるかな

              [あ]
〔大島〕なかそらにたちゐる雲のこともなく
    身のはかなくもなりにけるかな
〔越後〕なかそらにたちゐる雲のあともなく
    身のはかなくもなりぬへきかな
〔小式〕なかそらにたちゐる雲のあともなく
    身のいたつらになりぬへきかな

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14段・20
〔河實〕中\/に戀にしなすはくはこにそ
    なるへかりけるたまのをはかり
〔通具〕なか\/にこひにしなすはくはこにそ
    なるへかりけるたまのをはかり
〔大島〕なか\/にこひに死なすはくはこに□
    なるへかからりけりたまのをはかり

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28段・61
〔河實〕なとてかくあふこかたみになりにけん
    水もらさしとむすひしものを
〔通具〕なとてかくあふこかたみになりにけむ
    みつもらさしとむすひしものを
〔大島〕なとてかくあふこかたみになりにけん
    みつもらさしとむすひし物を
〔越後〕なとてかくあふこかたみとなりにけん
    みつもゝらしとちきりし物を

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61段・111
〔河實〕名にしおはゝあたにそあるへきたはれしま
    浪のぬれきぬきるといふなり
〔通具〕なにしほはゝあたにそあるへきたはれしま
    なみのぬれきぬきるといふなり
                   [しま]
〔大島〕なにをはゝあたにそあるへきたはれ川
    なみのぬれきぬきるといふ也

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9段・13
〔河實〕名にしおはゝいさ事とはむ宮こ鳥
    わかおもふ人はありやなしやと
〔通具〕なにしをはゝいさことゝはむみやことり
    わかおもふ人はありやなしやと
〔大島〕な[に]しをはゝいさことゝはんみやことり
    わかおもふ人はありやなしやと

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66段・123
〔河實〕なにはつをけさこそみつのうらことに
    これやこの㔺をうみわたるふね
〔通具〕なにはつをけさこそみつのうらことに
    これやこのよをうみわたるふね

      [つイ]
〔大島〕なにはへをけさこそみつのうらことに
    これやこのよをうみわたるふね

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43段・81
〔河實〕名のみたつしてのたおさはけさそなく
    いほりあまたとうとまれぬれは
〔通具〕なのみたつしてのたをさはけさそなく
    いほりあまたとうとまれぬれは
〔大島〕なのみたつしてのたをさはけさそなく
    いほりあまたとうとまれぬれは
         〝に〟

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75段・138
〔河實〕なみたにそぬれつゝしほる㔺の人の
    つらき心はそてのしつくか
〔通具〕なみたにそぬれつゝしほるよの人の
    つらきこゝろはそてのしつくか
〔大島〕なみたにそぬれつゝしほるよの人の
    つらき心は袖のしつくか

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116段・197
〔河實〕浪まより見ゆるこしまのはまひさし
    ひさしくなりぬきみにあひ見て
〔通具〕なみまよりみゆるこしまのはまひさき
    ひさしくなりぬ君にあひみて
〔大島〕[無し]
[越後〕なみまよりみゆるこしまのはまひさき
    ひさしくなりぬ君にあはすて
〔小式〕なみまよりみゆるこしまのはまひさし
    ひさしくなりぬきみにあひみて

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38段・74
〔河實〕ならはねは㔺の人ことになにをかも
    恋とはいふとゝひし我しも
〔通具〕ならはねはよの人ことになにをかも
    こひとはいふとゝひしわれしも
〔大島〕ならはねはよの人ことになにをかも
    こひとはいふとゝひしわれしも

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87段・159
〔河實〕ぬきみたる人こそあるらし白玉の
    まなくもちるかそてのせはきに
〔通具〕ぬきみたる人こそあるらしゝら玉の
    まなくもちるかそてのせはきに
〔大島〕ぬきみたす人こそあるらししらたまの
               〝にふ〟
    まなくもちるか袖のせはきに

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80段・143
〔河實〕ぬれつゝそしゐておりつる年の内に
    はるはいくかもあらしとおもへは
〔通具〕ぬれつゝそしゐておりつるとしのうちに
    はるはいくかもあらしとおもへは
〔大島〕ぬれつゝそしゐてをりつるとしのうちに

  [イ春はいくかにあらしと思へは]
    はるはけふをしかきりと思へは

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103段・179
〔河實〕ねぬる夜の夢をはかなみまとろめは
    いやはかなにもなりまさる哉
〔通具〕ねぬるよのゆめをはかなみまとろめは
    いやはかなにもなりまさるかな
〔大島〕ねたるよのゆめをはかなみまとろめは
    いやはかなにもなりまさるかな

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123段・207
〔河實〕野とならはうつらとなりてなきをらん
    かりにたにやは君はこさらむ
〔通具〕のとならはうつらとなりて鳴をらん
    かりにたにやはきみかこさらん
〔大島〕野とならはうつらとなりてなきをらん
    かひにたにやはきみかこさらん

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【は行】

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49段・91
〔河實〕はつ草のなとめつらしきことのはそは
    うらなく物を思ける哉
〔通具〕はつくさのとめつらしきことのはそ
    うらなくものをおもひけるかな
〔大島〕はつくさのなかめつらしきことのはを
    うらなく物を思けるかな

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29段・62
〔河實〕花にあかぬなけきはいつもせしかとも
    けふのこよひにゝる時はなし
〔通具〕はなにあかぬなけきはいつもせしかとも
    けふのこよひにゝるときはなし
〔大島〕花にあかぬなけきはいつもせしかとも

            [とき]
    けふのこよひににるをりはなし

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109段・188
〔河實〕花よりも人こそあたになりにけれ
    いつれをさきにこひんとか見し
〔通具〕はなよりも人こそあたになりにけれ
    いつれをさきにこひんとかみし
〔大島〕はなよりも人こそあたになりにけれ
    いつれをさきにこひんとかみし
〔小式〕はなよりも人こそあたになりにけれ
    いつれをさきにこひんとかみし

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越後16・小式11
〔越後〕春の日のいたりいたらぬさとはあらし
    さけるさかさるはなのみゆらん
〔小式〕春の日のいたりいたらぬさとはあらし
    さけるさかさる花のみゆらん

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87段・160
〔河實〕はるゝ夜のほしか河邉の螢かも
    わかすむかたのあまのたく火か
〔通具〕はるゝよのほしかゝはへのほたるかも
    わかすむかたのあまのたくひか
〔大島〕はるゝ夜のほしかゝはへのほたるかも
    わかすむかたのあまのたくひか

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95段・170
〔河實〕ひこほしにこひはまさりぬあまの河
    へたつるせきをいまはやめてよ
〔通具〕ひこほしにこひはまさりぬあまのかは
    へたつるせきをいまはやめてよ
〔大島〕ひこほしにこひはまさぬあまのかは
    へたつるせきをいまはやめてよ
〔小式〕ひこほしにこひはまさ〔り〕ぬあまのかは
    へたつるはしをいきはやめとよ

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89段・163
〔河實〕ひとしれす我こひしなはあちきなく
    いつれの神になきなおほせん
〔通具〕ひとしれすわかこひしなはあちきなく
    いつれの神になきなおほせむ
〔大島〕人しれすわかこひしなはあちきなく
    いつれの神になきなおほせん

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5段・6
〔河實〕ひとしれぬわかゝよひちのせきもりは
    よひ\/ことにうちもねなゝん
〔通具〕人しれぬ我かよひちのせきもりは
    よひ\/ことにうちもねなゝん
〔大島〕人しれぬわかゝよひちのせきもりは
    よひ\/ことにうちもねなゝん

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82段・148
〔河實〕ひとゝせにひとたひきます君まては
    やとかす人もあらしとそ思
〔通具〕ひとゝせにひとたひきます君まては
    やとかす人もあらしとそおもふ
〔大島〕ひとゝせにひとたひきます君まては
    やとかす人もあらしとそ思ふ

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21段・38
〔河實〕人はいさ思ひやすらん玉かつら
    おもかけにのみいとゝ見えつゝ
〔通具〕人はいさおもひやすらんたまかつら
    おもかけにのみいとゝみえつゝ
〔大島〕人はいさおもひやすらむたまかつら
    おもかけにのみいとゝみゆらん

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越後13・小式31
〔越後〕人を思ふ心のはなにあらはこそ
    かせのまに\/ちりもみたれめ
〔小式〕人を思ふこゝろこのはにあらはこそ
    風のまに\/ちりもみたれめ

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50段・94
〔河實〕吹風にこその櫻はちらすとも
    あなたのみかた人の心は
〔通具〕ふく風にこそのさくらはちらすとも
    あなたのみかた人のこゝろ
〔大島〕ふくかせにこそ[の]さくらはなちらすとも
             [は]
    あなたのみかた人の心や

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64段・116
〔河實〕吹風にわか身をなさは玉すたれ
    ひまもとめつゝいるへきものを
〔通具〕ふく風に我身をなさはたますたれ
    ひまもとめつゝいるへきものを
〔大島〕ふく風にわか身をなさはたますたれ
    ひまもとめつゝいるへき物を

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37段・72
〔河實〕ふたりしてむすひしひもをひとりして
    あひ見るまてはとかしとそ思
〔通具〕ふたりしてむすひしひもをひとりして
    あひみるまてはとかしとそおもふ
〔大島〕ふたりしてむすひしひもをひとりして
    あひみるまてはとかしとそ思ふ
〔越後〕ふたりしてむすひしひもをひとりして
    あひみぬまてはとかしとそ思ふ

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81段・大島a
〔大島〕ふりくらし\/つるあめのをとを
    つれなき人の心ともかな

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43段・80
〔河實〕ほとゝきすなかなくさとのあまたあれは
    猶うとまれぬ思ものから
〔通具〕ほとゝきすなかなくさとのあまたあれは
    なをうとまれぬおもふものから
〔大島〕ほとゝきすなかなくさとのあまたあれは
    猶うとまれぬ思ふ物から

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【ま行】

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83段・151
〔河實〕まくらとて草ひきむすふこともせし
    秋の夜とたにたのまれなくに
〔通具〕まくらとてくさひきむすふこともせし
    あきのよとたにたのまれなくに

   [まイ]
〔大島〕むくらとてくさひきむすふ事もなし
    秋のよとたにたのまれなくに

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99段・174
〔河實〕見すもあらす見もせぬ人のこひしくは
    あやなくけふやなかめくらさん
〔通具〕みすもあらすみもせぬ人のこひしくは
    あやなくけふやなかめくらさん
〔大島〕みすもあらすみもせぬ人の恋しくは
    あやなくけふやなかめくらさん

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1段・2
〔河實〕みちのくの忍もちすりたれゆへに
    みたれそめにし我ならなくに
〔通具〕みちのくのしのふもちすりたれゆへに
    みたれそめにしわれならなくに
〔大島〕みちのくのしのふもちすりたれゆへに
    みたれそめけん我ならなくに

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27段・60
〔河實〕みなくちに我や見ゆらんかはつさへ
    水のしたにてもろこゑになく
〔通具〕みなくちにわれやみゆらんかはつさへ
    みつのしたにてもろこゑになく
〔大島〕みなくちにわれやみゆるらんかはつさへ
           [こへになく]
    水のしたにてもろ心なり

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小式29
〔小式〕みやこよりこかてくれはつともなし
    たけのをかはのはしのみそある

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10段・14
〔河實〕みよしのゝたのむのかりもひたふるに
    きみかゝたにそよるとなくなる
〔通具〕みよしのゝたのむのかりもひたふるに
    君かゝたにそよるとなくなる
〔大島〕みよしのゝたのむのかりもひたふるに
    君かゝたにそよるとなきける

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70段・129
〔河實〕見るめかる方やいつこそさほさして
    我にをしへよあまのつり舟
〔通具〕みるめかるかたやいつくそさをさして
    われにをしへよあまのつりふね
〔大島〕みるめかるかたやいつくそさほさして
    われにをしへよあまのつりふね

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25段・57
〔河實〕見るめなきわか身をうらとしらねはや
    かれなてあまのあしたゆくゝる
〔通具〕みるめなきわかみをうらとしらねはや
    かれなてあまのあしたゆくゝる
〔大島〕みるめなき我身をうらとしらねはや
    かれなてあまのあしたゆきくる

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58段・105
〔河實〕むくらおひてあれたるやとのうれたきは
    かりにもおにのすたくなりけり
〔通具〕むくらをひてあれたるやとのうれたきは
    かりにもをにのすたくなりけり
〔大島〕むくらをひてあれたるやとのわひしきは
    かりにもをにのすたくなりけり

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13段・18
〔河實〕むさしあふみさすかにかけてたのむには
    とはぬもつらしとふもうるさし
〔通具〕むさしあふみさすかにかけてたのむには
    とはぬもつらしとふもうるさし
〔大島〕むさしあふみさすかにかけて思ふには
    とはぬもつらしとふもうるさし

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12段・17
〔河實〕むさしのはけふはなやきそわかくさの
    つまもこもれりわれもこもれり
〔通具〕むさしのはけふはなやきそわかくさの
    つまもこもれりわれもこもれり
〔大島〕むさしのはけふはなやきそわかくさの
    つまもこもれり我もこもれり

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117段・199
〔河實〕むつましと君は白浪みつかきの
    ひさしき㔺よりいはひそめてき
〔通具〕むつましと君はしらしなみつかきの
    ひさしきよゝりいはひそめてき
〔大島〕[無し]

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41段・78
〔河實〕むらさきの色こき時はめもはるに
    野なる草木そわかれさりける
〔通具〕むらさきの色こきときはめもはるに
    のなるくさきもわかれさりけり
〔大島〕むらさきのいろこき時はめもはるに
    野なるくさきそはかれさりける

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46段・86
〔河實〕めかるともおもほえなくにわすらるゝ
    時しなけれはおもかけにたつ
〔通具〕めかるとむおもほえなくにわすらるゝ
    時しなけれはおもかけにたつ
〔大島〕めかるともおもほえなくにわすらるる

              [みつ]
    時しなけれはおもかけにもつ
              [たつ]

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73段・133
〔河實〕めには見てゝにはとられぬ月のうちの
    かつらのこときゝみにそありける
〔通具〕めにはみてゝにはとられぬ月のうちに
    かつらのこときゝみにそありける

   [め]
〔大島〕みにはみてゝにはとられぬ月のうちの
    かつらのことくきみそありける
〔小式〕めにはみてゝにはとられぬ月のうちの
    かつらのことのきみにそありける

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63段・114
〔河實〕もゝとせにひとゝせたらぬつくもかみ
    我をこふらしおもかけに見ゆ
〔通具〕もゝとせにひとゝせたらぬつくもかみ
    われをこふらしおもかけにみゆ
〔大島〕もゝとせにひとゝせたらぬつくもかみ
    われをこふらしをもかけにみゆ

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【や行】

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122段・205
〔河實〕山しろのゐてのたま水てにむすひ
    たのみしかひもなきよなりけり
〔通具〕やましろのゐてのたまみつてにくみて
    たのみしかひもなきよなりけり
〔大島〕やましろのゐてのたま水てにくみて
    たのめしかひもなきよなりけり

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77段・140
〔河實〕山のみなうつりてけふにあふ事は
    はるのわかれをとふとなるへし
〔通具〕やまのみなうつりてけふにあふことは
    はるのわかれをとふとなるへし
〔大島〕やまのみなうつりてけふにある事は
    はるのわかれをいふとなるへし

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81段・大島b
〔大島〕やゝもすれは風にしたかふあめのをとを
    たえぬ心にかけすもあらなん

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54段・100
〔河實〕行やらぬ夢地をたのむたもとには
    あまつそらなるつゆやをくらん
〔通具〕ゆきやらすやまちをたとるたもとには
    あまつそらなる露やおくらん
〔大島〕ゆきやらぬゆめちをたとるたもとには
    あまつそらなる露やをくらん

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45段・84
〔河實〕ゆくほたる雲のうへまていぬへくは
    秋風ふくとかりにつけこせ
〔通具〕ゆくほたるくものうへまていぬへくは
    あきかせふくとかりにつけこせ
〔大島〕ゆくほたる雲のうへまてゆくへくは
    あきかせふくとかりにつけこせ

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50段・96
〔河實〕ゆくみつとすくるよはひとちる花と
    いつれまてゝふことをきくらん
〔通具〕ゆくみつとすくる月ひとちるはなと
    いつれまてゝふことをきくらん

           [よはひとイ]
〔大島〕ゆくみつとすくる月日とちるはなと

      [をまてといふときくらんイ]
    いつれまてゝふことをきゝけん

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50段・95
〔河實〕ゆく水にかすかくよりもはかなきは
    おもはぬ人を思ふなりけり
〔通具〕ゆくみつにかすかくよりもはかなきは
    おもはぬ人をおもふなりけり
〔大島〕ゆくみつにかすかくよりもはかなきは
    思はぬ人をおもふなりけり

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小式21
〔小式〕ゆふつくよあか月かたのあさかけに
    わか身はなりぬきみをこふとて

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84段・154
〔河實〕㔺中にさらぬわかれのなくも哉
    千よもといのる人のこのため
〔通具〕よの中にさらぬわかれのなくもかな
    ちよもといのる人のこのため
〔大島〕世中にさらぬわかれのなくもかな
    ちよもといのる人のこのため

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82段・145
〔河實〕㔺中にたえてさくらのなかりせは
    はるの心はのとけからまし
〔通具〕よの中にたえてさくらのなかりせは
    はるのこゝろはのとけからまし
〔大島〕世の中にたえてさくらのなかりせは
    はるのこゝろはのとけからまし

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《よひことに→よゐことに》

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14段・21
〔河實〕夜もあけはきつにはめなてくたかけの
    またきになきてせなをやりつる
〔通具〕よもあけはきつにはめなてくたかけの
    またきになきてせなをやりつる

               [くろかけ]
               [くたかり]
               [くさかき]
               [くそかけ]
〔大島〕夜もあけはきつにはめなてくたかけの
    またきになきてせなをやりつる

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108段・187
〔河實〕夜ゐことにかはつのあまたなくたには
    水こそまされ雨はふらねと
〔通具〕よひことにかはつのあまたなくたには
    みつこそまされあめはふらねと
〔大島〕よひことにかはつのあまたなくたには
    みつこそまされあめはふらねと

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104段・180
〔河實〕㔺をうみのあまとし人を見るからに
    めくはせよともたのまるゝ哉
〔通具〕よをうみのあまとし人をみるからに
    めくはせよともたのまるゝかな
〔大島〕よをうみのあまとし人をみるからに

          [おもほゆるかなイ]
    めくはせよともたのまるゝかな

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【わ行】

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越後9
〔越後〕わかいゑは雲ゐのみねしちかけれは
    をしふともこん物ならなくに

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59段・108
〔河實〕わかうへに露そをくなるあまの河
    とわたるふねのかいのしつくか
〔通具〕わかうへにつゆそおくなるあまのかは
    とわたるふねのかひのしつくか

        [つゆ]
〔大島〕わかうへにみつそをくなるあまのかは
    とわたるふねのかちのしつくか

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10段・15
〔河實〕わか方によるとなくなるみよしのゝ
    たのむのかりをいつかわすれん
〔通具〕我かたによるとなくなるみよしのゝ
    たのんのかりをいつかわすれん
〔大島〕わかゝたによるとなくなるみよしのゝ
    たのむのかりをいつかわすれん

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79段・142
〔河實〕わかゝとにちひろある影をうへつれは
    夏冬たれかゝくれさるへき
〔通具〕わかとにちひろあるかけをうへつれは
    夏冬たれかゝくれさるへき
〔大島〕わかゝとにちひろあるたけをうへつれは
    なつふゆたれかゝくれさるへき

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56段・102
〔河實〕わかそては草の庵にあらねとも
    くるれはつゆのやとりなりけり
〔通具〕我袖はくさのいほりにあらねとも
    くるれはつゆのやとりなりけり
〔大島〕わかそてはくさのいをりにあらねとも
           〝たもと〟

    くるれはつゆのやとりなりけり

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98段・173
〔河實〕わかたのむ君かためにとおる花は
    ときしもわかぬ物にそ有ける
〔通具〕我たのむ君かためにとおるはなは
    ときしもわかぬものにそありける

                [るはな]
〔大島〕わかたのむきみかためにとをりつれは
    時しもまたぬ物にそありける

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小式12
〔小式〕わかやとにまきしなてしこいつしかも
    はなにさかなんよそへてもみむ

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87段・158
〔河實〕わが㔺をはけふかあすかとまつかひの
    なみたのたきといつれたかけん
〔通具〕わかよはひけふかあすかとまつかひの
    なみたのたきといつれたかけむ
〔大島〕わかよをはけふかあすかとまつかひの

              [からん]
    なみたのたきといつれたけゝん

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11段・16
〔河實〕わするなよほとは雲ゐになりぬとも
    そらゆく月のめくりあふまて
〔通具〕わするなよほとはくもゐになりぬとも
    そらゆく月のめくりあふまて
〔大島〕わするなよほとは雲ゐになりぬとも
    そ[ら]のゆく月のめくりあふまて

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21段・41
〔河實〕わする覧と思心のうたかひに
    ありしよりけに物そかなしき
〔通具〕[無し]
〔大島〕わするらんと思ふ心のうたかひに
    ありしよりけに物そかなしき

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21段・40
〔河實〕忘草うふとたにきく物ならは
    思けりとはしりもしなまし
〔通具〕[無し]

        [おほふ]
〔大島〕わすれくさうしとたにきく物ならは
    思けりとはしりもしなまし

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100段・176
〔河實〕忘草おふるのへとは見るらめと
    こはしのふなりのちもたのまん
〔通具〕わすれくさおふるのへとはみるらめと
    こはしのふなりのちもたのまむ
〔大島〕わすれくさをふるのへとはみるらめと
    こはしのふなりのちもたのまむ

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83段・152
〔河實〕わすれては夢かとそ思おもひきや
    ゆきふみわけて君を見むとは
〔通具〕わすれてはゆめかとそおもふおもひきや
    ゆきふみわけて君をみむとは
〔大島〕わすれてはゆめかとそ思ふおもひきや
    ゆきふみわけてきみをみんとは

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87段・161
〔河實〕渡つ海のかさしにさすといはふもゝ
    きみかためにはおしまさりけり
〔通具〕わたつうみのかさしにさすといはふもゝ
    きみかためにはをしまさりけり
〔大島〕わたつみのかさしにさすといふ物の
    きみかためにはをしまさりけり

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37段・71
〔河實〕我ならてしたひもとくなあさかほの
    ゆふかけまたぬ花にはありとも
〔通具〕われならてしたひもとくなあさかほの
    ゆふかけまたぬはなにはありとも
〔大島〕われならてしたひもとくなあさかほの
    ゆふかけまたぬ花にはありとも
〔越後〕われならてしたひもとくなあさかほの
    ゆふかけまたぬ花にはありとも

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27段・59
〔河實〕我許物思人は又もあらし
    とおもへは水のしたにも有けり
〔通具〕われはかりものおもふ人はまたもあらし
    とおもへはみつのしたにもありけり
〔大島〕われはかりもの思ふ人は又もあらし
    と思へはみつのしたにもありけり

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117段・198
〔河實〕我見てもひさしくなりぬすみ𠮷の
    きしのひめ松いくよへぬらん
〔通具〕われみてもひさしくなりぬすみよしの
    きしのひめまついくよへぬらん
〔大島〕[無し]
〔越後〕われみてもひさしくなりぬすみよしの
    きしのひめまついくよへぬらん

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《をきなさひ→おきなさひ》

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115段・196
〔河實〕をきのゐて身をやくよりもかなしきは
    宮こしまへのわかれなりけり
〔通具〕おきのゐてみをやくよりもかなしきは
    宮こしまへのわかれなりけり
〔大島〕[無し]
〔越後〕をきのゐてみのやくよりもかなしきは
    みやこしまへのわかれなりけり
〔小式〕をきのゐてみをやくよりもかなしきは
    みやこしまへのわかれなりけり

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《をきもせす→おきもせす》

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82段・150
〔河實〕をしなへて峯もたひらになりなゝむ
    山のはなくは月もいらしを
〔通具〕をしなへてみねもたひらになりなゝむ
    やまのはなくは月もいらしを
〔大島〕をしなへてみねもたひらになりななん

         [月もかくれし]
   [やまはあれはそ月もかくるゝ]
    山のはなくは月もいらしを

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《をしめとも→おしめとも》

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《をひぬれは→おいぬれは》

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