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伊勢物語翻刻 by 片島諒

伊勢物語各種影印本の翻刻を行います

和歌索引~あ行

和歌索引

伊勢物語の和歌を50音順に示した。
仮名遣い・漢字は底本のままとし、第一字目が歴史的仮名遣いと異なるものは歴史的仮名遣いからも引けるようにした。
〔河實〕は天福本系の河野美術館蔵三條西實隆筆本。
〔通具〕は非定家本の鉄心斉文庫蔵の通称通具本。堀川通具旧蔵本を二條為氏が書写したものと言う。
〔大島〕は非定家本の大島雅太郎氏旧蔵伝二條為氏筆本。
〔越後〕は大島本巻末の皇太后宮越後本からの転載部分であることを示す。
〔小式〕は大島本巻末の小式部内侍本からの転載部分であることを示す。

段数は定家本の段を示し、歌の通し番号は新典社刊影印校注古典叢書6「伊勢物語」(小林茂美校注)によった。大島本の中の定家本に無い歌については定家本と共通する段に出て来る歌は「段数・大a」のように記し、巻末の皇太后宮越後本からの転載部分の歌は転載部分に出て来る順序に「越後1」などと記し、小式部内侍本からの転載部分は同様に「小式1」などと記した。

[]内は補入及び添書き、「イ」は一本、〝〟はミセケチを示す。補入は本文中に入れ、添書きは本文の上に、ミセケチは本文の下に記した。

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【あ行】

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82段・149
〔河實〕あかなくにまたきも月のかくるゝか
    山のはにけていれすもあらなん
〔通具〕あかなくにまたきもつきのかくるゝか
    やまのはにけていれすもあらなん
〔大島〕あかなくにまたきも月もかくるゝか
    やまのはにけていれすもあらなん

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78段・141
〔河實〕あかねともいはにそかふる色見えぬ
     心を見せむよしのなけれは
〔通具〕あかねともいはにそかふるいろみえぬ
     心をみせむよしのなけれは
[大島〕あかねともいはにそかふるいろみえぬ
    心をみせんよしのなけれは

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96段・171
〔河實〕秋かけていひしなからもあらなくに
    この葉ふりしくえにこそありけれ
〔通具〕あきかけていひしなからもあらなくに
    このはふりしくえにそありける
〔大島〕あきかけていひしなかにもあらなくに
    このはふりしくえにこそありけれ

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25段・56
〔河實〕秋のゝにさゝわけしあさの袖よりも
     あはてぬる夜そひちまさりける
〔通具〕あきのゝにさゝわけしあさのそてよりも
    あはてぬるよそひちまさりける
〔大島〕秋の野にさゝわけしあさの袖よりも
    あはてぬる夜そひちまさりける

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22段・45
〔河實〕秋の夜のちよをひとよになすらへて
    やちよしねはやあく時のあらん
〔通具〕秋のよのちよをひとよになすらへて
    やちよしねはやあくときのあらん
〔大島〕あきのよのちよをひとよになそらへて
    やちよをねはやあくときのあらん

_______________________
    
22段・46
〔河實〕秋の夜のちよをひとよになせりとも
    ことはのこりてとりやなきなん
〔通具〕あきのよのちよをひとよになせりとも
    ことはのこりてとりやなきなん
〔大島〕秋のよのちよをひとよになせりとも
    ことはのこりてとりやなきなん

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94段・168
〔河實〕秋の夜は春ひわするゝ物なれや
    かすみにきりやちへまさるらん
〔通具〕秋のよはゝるひわするゝものなれや
    かすみにきりやたちへたつらん
〔大島〕あきのよははるひわするゝ物なれや
    かすみにきりやたちまさるらん

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16段・27
〔河實〕秋やくるつゆやまかふとおもふまて
    あるは淚のふるにそ有ける
〔通具〕あきやくる露やまかふとおもふまて
    あるはなみたのふるにそありける
〔大島〕あきやくる露やまかふと思ふまて
    あるはなみたのふるにそありける

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小式27
   [いイ]
〔小式〕あさゝめにちりぬるさくらなからなむ
    のとけき春のなをもたつめり

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50段・93
〔河實〕あさつゆはきえのこりてもありぬへし
    たれかこの㔺をたのみはつへき
〔通具〕あさつゆはきえのこりてもありぬへし
    たれかこのよをたのみはつへき
 
〔大島〕あさつゆはきえのこりてもありぬへし
    〝つさゆみ〟

    たれかこの世をたのみはつへき

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107段・184
〔河實〕あさみこそゝてはひつらめ淚河
    身さへなかるときかはたのまむ
〔通具〕あさせこそゝてはひつらめなみたかは
    みさへなかるときかはたのまむ
〔大島〕あさみこそ袖はひつらめなみたかは
    みさへなかるといはゝたのまん

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87段・157
〔河實〕あしのやのなたのしほやきいとまなみ
    つけのをくしもさゝすきにけり
〔通具〕あしのやのなたのしほやきいとまなみ
    つけのをくしもさゝすきにけり 
〔大島〕あしのやのなたのしほやきいとまなみ

        [イをさゝすねにけり]    
    つけのをくしもさきすきにけり

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92段・166
〔河實〕あし邉こくたなゝしを舟いくそたひ
    ゆきかへるらんしる人もなみ
〔通具〕あしへこくたなゝしおふねいくそたひ
    ゆきかへるらんしる人もなみ
〔大島〕あしへこくたなゝしをふねいくそたひ
    ゆきかへるらんしる人もなみ

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33段・66
〔河實〕あしへよりみちくるしほのいやましに
    君に心を思ます哉
〔通具〕あしへさよりみちくるしほのいやましに
    きみにこゝろをおもひますかな
〔大島〕あしへよりみちくるしをのいやましに
    君に心をおもひますかな

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17段・28
〔河實〕あたなりとなにこそたてれ櫻花
    年にまれなる人もまちけり
〔通具〕あたなりとなにこそたてれさくらはな
    としにまれなる人もまちけり
〔大島〕あたなりとなにこそたてれ櫻花
    としにまれなる人もまちけり

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《あちきなし→おほかたは》

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24段・54
〔河實〕あつさ弓ひけとひかねと昔より
    心はきみによりにし物を
〔通具〕あつさゆみひけとひかねとむかしより
    こゝろはきみによりにしものを
〔大島〕[あつさ弓引とひかねと昔より
    心は君によりにし物を]
✻大島本ではこの歌は行間に小文字で書かれている。

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24段・53
〔河實〕あつさゆみま弓つき弓年をへて
     わかせしかことうるはしみせよ
〔通具〕あつさゆみまゆみつきゆみとしをへて
    わかせしかことうるわしみせよ
〔大島〕あつさゆみまゆみつきゆみとしをへて
    わかせしかことうるはしみせよ

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24段・55
〔河實〕あひおもはてかれぬる人をとゝめかね
    わか身は今そきえはてぬめる
〔通具〕あひおもはてかれぬる人をとゝめかね
    我みはいまそきえはてぬめる
〔大島〕あひ思はてかれぬる人をとゝめかね
    わか身はいまそきえはてにける

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22段・44
〔河實〕あひ見ては心ひとつをかはしまの
    水のなかれてたえしとそ思
〔通具〕あひみてはこゝろひとつをかはしまの
    みつのなかれてたへしとそおもふ

  [イあひもみて]
  [イあひはみて]
〔大島〕あひみては心ひとつをかはしまの
    みつのなかれてたえしとそ思ふ

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30段・63
〔河實〕あふことはたまのを許おもほえて
    つらき心のなかく見ゆらん
〔通具〕あふことにたまのをはかりおもほえす
    つらきこゝろのなかくみゆらん
〔大島〕あふことはたまのをはりおもほえて
    つらき心のなかくみゆらん
〔越後〕あふことはたまのをはかりおもほへて
    つらき心のなかくみゆらん

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93段・167
〔河實〕あふな\/思ひはすへしなそへなく
    たかきいやしきくるしかりけり
〔通具〕あふな\/おもひはすへしなそへなく
    たかきいやしきくるしかりけり

  [イなよや\/]
  [イあさな\/]  [イかきりなく]
  [イあふさ\/]    [そ]
〔大島〕あふな\/思はすへしなすへなく

          [イる][るらんイ]
    たかきくるしきくやしかりけり

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120段・202
〔河實〕近江なるつくまのまつりとくせなん
    つれなき人のなへのかす見む
〔通具〕あふみなるつくまのまつりはやせなん
    つれなき人のなへのかすみん

               [とくイ]
〔大島〕あふみなるつくまのまつりはやせなん
    つれなき人のなへのかすみん

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19段・33
 [古今ゆきかへり]
〔河實〕あまくものよそにのみしてふることは
    わかゐる山の風はやみ也
〔通具〕あまくものよそにのみしてふることは
    わかゐるやまのかせはやみなり
〔大島〕あまくものよそにのみしてふる事は
    我ゐるやまの風はやみなり

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19段・32
〔河實〕あま雲のよそにも人のなりゆくか
    さすかにめには見ゆる物から
〔通具〕あまくものよそにもひとのなりゆくか
    さすかにめにはみゆるものから
〔大島〕あまくものよそにも人のなりゆくか
    さすかにめにはみゆるものから

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小式3
〔小式〕あまたあらはさしはせすともたまくしけ
    あけんをり\/思ひてにせよ

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65段・120
〔河實〕あまのかるもにすむゝしの我からと
    ねをこそなかめ㔺をはうらみし
〔通具〕あまのかるもにすむゝしのわれからと
    ねをこそなかめよをはうらみし
〔大島〕あまのかるもにすむゝしのわれからと
    ねをこそなかめよをはうらみし

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小式2
〔小式〕あまのすむさとのしるへにあらねとも
    うらみむとのみ人はいふらん 

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52段・98
〔河實〕あやめかり君はぬまにそまとひける
    我は野にいてゝかるそわひしき
〔通具〕あやめかり君はぬまにそまとひける
    われはのにいてゝかるそわひしき
〔大島〕あやめかり君はまたこそまとひける
    われはのにいてゝかくそをゝしき

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24段・52
〔河實〕あらたまの年の三とせをまちわひて
    たゝこよひこそにゐまくらすれ
〔通具〕あらたまのとしの三とせをまちわひて
    たゝこよひこそにゐまくらすれ
〔大島〕あらたまのとしのみとせをまちわひて
    たゝこよひこそにゐまくらすれ

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58段・104
〔河實〕あれにけりあはれいく㔺のやとなれや
    すみけんひとのをとつれもせぬ
〔通具〕あれにけりあはれいくよのやとなれや
    すみけむ人のおとつれもせぬ
〔大島〕あれにけりあはれいくよのやとなれや
    すみけん人のをとつれもせぬ

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53段・99
〔河實〕いかてかは鳥のなく覧人しれす
    思ふ心はまたよふかきに
〔通具〕如何かは鳥のなくらん人しれす
    おもふこゝろはまたよふかきに
〔大島〕いかてかはとりなきぬらん人しれす
    おもふ心はまたよふかきに

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小式26
〔小式〕いさゝくらちらはありなんひとさかり
    なれなはうきめみえもこそすれ

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《いさゝめに→あささめに》

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65段・122
〔河實〕いたつらに行てはきぬる物ゆへに
    見まくほしさにいさなはれつゝ
〔通具〕いたつらにゆきてはきぬるものゆへに
    みまくほしさにいさなはれつゝ
〔大島〕いたつらにゆきてはきぬる物なれと
    みまくほしさにいさなはれつゝ

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40段・大a
[大島〕いつくまてをくりはしつと人とはゝ
    あかぬなこりのなみたかはまて

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20段・35
〔河實〕いつのまにうつろふ色のつきぬらん
    きみかさとには春なかるらし
〔通具〕いつのまにうつろふいろのつきぬらん
     君かさとには春なかるらし
〔大島〕いつのまにうつろふいろのつきぬらむ
    きみかさとには春なかるらし

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36段・大a
〔大島〕いつはりと思ふものからいまさらに
    たかまことをかわれはたのまん
〔小式〕いつはりと思ふ物からいまさらに
    たかまことをかわれはたのまん

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39段・75
〔河實〕いてゝいなはかきりなるへみともしけち
    年へぬるかとなくこゑをきけ
〔通具〕いてゝいなはかきりなるへみともしけち
    としへぬるかとなくこゑをきけ
〔大島〕いてゝいなはかきりなるへみともしけち
    としへぬなりとなくこゑをきけ

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21段・36
〔河實〕いてゝいなは心かるしといひやせん
    㔺のありさまを人はしらねは
〔通具〕いてゝいなは心かろしといひやせん
    よのありさまを人はしらねは
〔大島〕いてゝいなは心かろしといひやせん
    世のありさまを人はしらねは

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40段・77
〔河實〕いてゝいなは誰か別のかたからん
    ありしにまさるけふはかなしも
〔通具〕いてゝいなはたれかわかれのかたからん
    ありしにまさるけふはかなしも
〔大島〕いてゝいなはたれかわかれのかたからん
    〝とひて〟         〝な〟

    ありしにまさるけふはかなしも

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42段・79
〔河實〕いてゝこしあとたにいまたかはらしを
    たかゝよひちと今はなるらん
〔通具〕いてゝこしあとたにいまたかはらしを
    たかゝよひちといまはなるらん

        [あとたイ]   [イしを] 
〔大島〕いてゝこしことたにいまはかはらねは
      〝いる〟 

    たかゝよひちといまはなるらん

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44段・83
〔河實〕いてゝゆく君かためにとぬきつれは
    我さへもなくなりぬへきかな
〔通具〕いてゝゆく君かためにとぬきつれは
    われさへもなくなりぬへきかな
〔大島〕いてゝゆく君をいはふとぬきつれは
    われさへもなくなりぬへきかな

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39段・76
〔河實〕いとあはれなくそきこゆるともしけち
    きゆる物とも我はしらすな
〔通具〕いとあはれなくそきこゆるともしけち
    きゆるものともわれはしらすな

        [なく きこゆる]
〔大島〕いとあはれまつそかなしきともしひの
    きゆらんこともわれはえしらす

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7段・8
〔河實〕いとゝしくすきゆくかたのこひしきに
    うら山しくもかへるなみかな
〔通具〕いとゝしくすきゆくかたのこひしきに
    うらやましくもかへるなみかな
〔大島〕いとゝしくすきゆくかたの恋しきに
    うらやましくもかへるなみ哉

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32段・65
〔河實〕いにしへのしつのをたまきくりかへし
    むかしを今になすよしも哉
〔通具〕いにしへのしつのおたまきくりかへし
    むかしをいまになすよしもかな
〔大島〕いにしへのしつのをたまきくりかへし
    むかしをいまになすよしもかな

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62段・112
〔河實〕いにしへのにほひはいつらさくら花
    こけるからともなりにける哉
〔通具〕いにしへのにほひはいつらさくらはな
    こけるかこともなりにけるかな
〔大島〕いにしへのにほひはいつらさくらはな
    こけるかこともなりにけるかな

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111段・190
〔河實〕いにしへはありもやしけん今そしる
    また見ぬ人をこふるものとは
〔通具〕いにしへはありもやしけむいまそしる
    またみぬ人をこふるものとは
〔大島〕いにしへはありもやすらむいまそしる
    またみぬ人をこふる物とは
〔小式〕いにしへはありもやすらむいまそしる
    またみぬ人をこふる物とは

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74段・134
〔河實〕いはねふみかさなる山にあらねとも
    あはぬ日おほくこひわたる哉
〔通具〕いはねふみかさなるやまはへたてねは
    あはぬひおほくこひわたるかな
〔大島〕いはねふみかさなる山はへたてねと
    あはぬ日おほくこひわたるかな
〔小式〕いはねふみかさなる山はとをけれと
    あはぬ日おほくこひわたるかな

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75段・137
〔河實〕いはまよりおふるみるめしつれなくは
    しほひしほみちかひもありなん
〔通具〕いはまよりおふるみるめしつれなくは
    しほひしほみちかひもありなん

     [ま]        [れ]    
〔大島〕いはねよりをふるみるめしつわなくは
                  〝ら〟 

    しほひしほみちかひもありなん
         〝は〟

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34段・68
〔河實〕いへはえにいはねはむねにさはかれて
    心ひとつになけくころ哉
〔通具〕いえはえにいはねはむねにさはかれて
    こゝろひとつになけくころかな
〔大島〕いへはえに思へはむねにさはかれて
    こゝろひとつになけくころ哉

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43段・82
〔河實〕いほりおほきしてのたをさは猶たのむ
    わかすむさとにこゑしたえすは
〔通具〕いほりおほきしてのたをさをなをたのむ
    わかすむさとにこゑしたえすは
〔大島〕いほりおほきしてのたをさをなをたのむ
    わかすむさとにこゑしたえすは

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48段・89
〔河實〕今そしるくるしき物と人またむ
    さとをはかれすとふへかりけり
〔通具〕いまそしるくるしきものと人またん
    さとをはかれすとふへかりけり
〔大島〕いまそしるくるしき物と人またん
    さとをはかれすとふへかりけり

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21段・39
〔河實〕今はとてわするゝ草のたねをたに
    ひとの心にまかせすも哉
〔通具〕いまはとてわするゝくさのたねをたに
    人のこゝろにまかせすもかな
〔大島〕いまはとてわするゝくさのたねをたに
    人のこゝろにまかせすもかな

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越後12・小式30
〔越後〕いまはとてわれにしくれのふりゆけは
    ことのはさへそうつろひにける
〔小式〕いまはとてわか身しくれにふりゆけは
    ことのはさへそうつろひにける

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86段・156
〔河實〕今まてにわすれぬ人は㔺にもあらし
    をのかさま\/年のへぬれは
〔通具〕[無し]
〔大島〕いまゝてにわすれぬ人は世にもあらし
    をのかさま\/としのへぬれは

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22段・43
〔河實〕うきなから人をはえしもわすれねは
    かつうらみつゝ猶そこひしき
〔通具〕うきなから人をはえしもわすれねは
    かつうらみつゝなをそこひしき
〔大島〕うきなから人をはえしもわすれねは
    かつうらみつゝなをそ戀しき

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121段・204
〔河實〕うくひすの花をぬふてふかさはいな
    おもひをつけよほしてかへさん
〔通具〕うくひすの花をぬふてふかさはいな
    おもひをつけよほしてかへさん
〔大島〕鶯の花をぬふてふかさはいな
    おもひをつけよほしてかへさん

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121段・203
〔河實〕うくひすの花をぬふてふかさも哉
    ぬるめる人にきせてかへさん
〔通具〕うくひすのはなにぬふてふかさもかな
    ぬるめる人にきせんかへさむ
〔大島〕うくひすのはなをぬふてふかさもかな

    [れか]
    ぬる\/人にきせてかへさん

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58段・106
〔河實〕うちわひておちほひろふときかませは
    我も田つらにゆかましものを
〔通具〕うちわひてをちほひろふときかませは
    われもたつらにゆかましものを
〔大島〕うちわひてをちほひろふときかませは
    われもたつらにゆかまし物を

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51段・97
〔河實〕うへしうへは秋なき時やさかさらん
    花こそちらめねさへかれめや
〔通具〕うへしうへはあきなきとしやさかさらん
    はなこそかれめねさへかれめや
〔大島〕うつしうへは秋なき時やさかさらん
    はなこそちらめねさへかれめや

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49段・90
〔河實〕うらわかみねよけに見ゆるわか草を
    ひとのむすはむことをしそ思
〔通具〕うらわかみねよけにみゆるわかくさは
    人のむすはんことをしそおもふ
〔大島〕うらをかみねよけにみゆるわかくさを

            [しそおもふイ]
    人のむすはんことをこそおもへ

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84段・153
〔河實〕老ぬれはさらぬわかれのありといへは
    いよ\/見まくほしきゝみかな
〔通具〕おいぬれはさらぬわかれもありといへは
    いよ\/みまくほしきゝみかな
〔大島〕をひぬれはさらぬわかれのありといへは
    いよ\/みまくほしきゝみかな

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114段・195
〔河實〕おきなさひ人なとかめそかり衣
    けふはかりとそたつもなくなる
〔通具〕おきなさひゝとなとかめそかりころも
    けふはかりとそたつもなくなる
〔大島〕をきなさひ人なとかめそかり衣
    けふはかりそとたつもなくなる
〔越後〕おきなさひ人なとかめそかりころも
    けふはかりとそかりもなくなる

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《おきのゐて→をきのゐて》

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2段・3
〔河實〕おきもせすねもせてよるをあかしては
    春の物とてなかめくらしつ
〔通具〕おきもせすねもせてよるをあかしては
    はるのものとてなかめくらしつ
〔大島〕をきもせすねもせてよるをあかしては
    春のものとてなかめくらしつ

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《おしなへて→をしなへて》

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91段・165
〔河實〕おしめとも春のかきりのけふの日の
    ゆふくれにさへなりにける哉
〔通具〕をしめとも春のかきりのけふの日の
    ゆふくれにさへなりぬけるかな
〔大島〕をしめとも春のかきりのけふの日の
    ゆふくれにさへなりにけるかな

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88段・162
〔河實〕おほかたは月をもめてしこれそこの
    つもれは人のおいとなる物
〔通具〕おほかたは月をもめてしこれそこの
    つもれは人のをいとなるもの
〔大島〕あちきなし月をもめてしこれそこの
    つもれは人のをいとなるもの

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47段・88
〔河實〕おほぬさと名にこそたてれ流ても
    つゐによるせはありといふ物を
〔通具〕おほぬさとなにこそたてれなかれても
    つゐによるせはありといふものを
〔大島〕おほぬさとなにこそたてれなかれても

      [よるイ]
    つひにあふせはありてふ物を

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47段・87
〔河實〕おほぬさのひくてあまたになりぬれは
    思へとえこそたのまさりけれ
〔通具〕おほぬさのひくてあまたになりぬれは
    おもへとえこそたのまさりけれ
〔大島〕おほぬさのひくてあまたになりぬれは
    思へとえこそたのまさりけれ

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越後6・小式15
        [てイ]
〔越後〕おほはらやせかひのみつをむすひつゝ
    あくやとゝひし人はいつらは
〔小式〕おほはらやせかゐの水をむすひつゝ
    あくやといひし人はいつらは

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76段・139
〔河實〕大原やをしほの山もけふこそは
    神㔺のことも思いつらめ
〔通具〕おほはらやをしほのやまもけふこそは
    神よのこともおもひいつらめ
〔大島〕おほはらやをしほの山もけふこそは
    神よの事もおもひいつらめ

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75段・135
〔河實〕おほよとのはまにおふてふ見るからに
    心はなきぬかたらはねとも
〔通具〕おほよとのはまにをふてふみるからに
    こゝろはなきぬかたらはねとん
〔大島〕おほよとのはまにをふてふみるからに
    心はなきぬかたらはねとも

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72段・132
〔河實〕おほよとの松はつらくもあらなくに
    うらみてのみもかへるなみ哉
〔通具〕おほよとのまつはつらくもあらなくに
    うらみてのみもかへるなみかな
〔大島〕おほよとのまつはわらくもあらなくに
    うらみてのみもかへるなみかな

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55段・101
〔河實〕おもはすはありもすらめと事のはの
    をりふしことにたのまるゝかな
〔通具〕おもははありもやすらむことのはの
    をりふしことのたのまるゝかな
〔大島〕思はすはありもすらめとことのはの
    をりふしことにたのまるゝかな

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110段・189 
〔河實〕おもひあまりいてにしたまのあるならん
    夜ふかく見えはたまむすひせよ 
〔通具〕おもひあまりいてにしたまのあるならん
    よふかくみえはたまんすひせよ
〔大島〕思ひあまりいてにしたまのあるならん
    よふかくみえはたまむすひせよ

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3段・4
〔河實〕思ひあらはむくらのやとにねもしなん
    ひしきものにはそてをしつゝも
〔通具〕おもひあらはむくらのやとにねもしなん
    ひしきものにはそてをしつゝも
〔大島〕おもひあらはむくらのやとにねもしなん
    ひしき物には袖をしつゝも

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小式19
〔小式〕おもひつゝをれはすへなしむはたまの
    よるになりなはわれこそゆかめ

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21段・37
〔河實〕思ふかひなき㔺なりけり年月を
    あたにちきりて我やすまひし
〔通具〕おもひかひなきよなりけりとし月を
    あたにちきりてわれやすまひし
〔大島〕おもふかひなき世なりけりとし月を
    あたにちきりてわれやすまひし

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124段・208
〔河實〕おもふこといはてそたゝにやみぬへき
    我とひとしき人しなけれは
〔通具〕おもふこといはてそたゝにやみぬへき
    われとひとしき人しなけれは
〔大島〕思ふこといはてそたゝにやみぬへき
    われとひとしき人しなけれは

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65段・118
〔河實〕思ふにはしのふることそまけにける
    あふにしかへはさもあらはあれ
〔通具〕おもふにはしのふることそまけにける
    あふにしかへはさもあらはあれ
〔大島〕思ふにはしのふることそまけにける
    あふにしかへはさもあらはあれ

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85段・155
〔河實〕おもへとも身をしわけねはめかれせぬ
    ゆきのつもるそわか心なる
〔通具〕おもへともみをしわけねはめもかれぬ
    ゆきのつもるそわかこゝろなる
〔大島〕おもへともみをしわけねはめはかれぬ
    ゆきのつもるそわかこゝろなる

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26段・58
          [イなみた]  [らし]
〔河實〕おもほえすそてにみなとのさはく哉
    もろこし舟のよりし許に
〔通具〕おもほえすそてにみなとのさはくかな
    もろこしふねのよりしはかりに

       [そてにみなとイ]
〔大島〕おもほえす袖になみたそさはくらし

          [よせつはかりにイ]
    もろこしふねもよりしはかりに